【原爆】ノーモア・ヒロシマ&ナガサキ
2008年 08月 06日
先日TVで原爆特集が放映されていましたが、その中で退役米軍兵士の方は、原爆の正当性を述べていました。「原爆を投下したから、第2次大戦を早く終結できた。もし投下していなければより多数の犠牲者がうまれた。」彼の主張はこのようなものでした。一面だけをとらえれば言っていることは正しいのかもしれませんが、原爆の後遺症にいまだに多数の方が苦しめられている事実を考えると、彼の主張は勝者の都合のよい論理としてしか受け止めることはできません。
核軍縮を巡る国際情勢は依然として厳しい中、国内では原爆症認定についての国の姿勢が問われています。いつ発症するか分からない後障害と原爆体験による心の傷に加え、周囲の無理解と無関心は被爆者を一層苦しめてきています。広島市の秋葉忠利市長は平和宣言で、8月6日を「『こんな思いを他の誰にもさせない』ための決意を新たにする日」と位置づけました。当然のことと思います。
被爆者の方だけでなく、国民全員がこの日を忘れることなく、暮らしていくことが重要なのではないかと感じました。
そして今年、米国による第二次大戦中の原爆開発計画に携わった女性科学者のジョアン・ヒントンさんが初来日し広島を訪れました。数万人の命を一瞬で奪った科学に絶望して米国を離れ、中国へ渡って60年、科学者であることを捨て、酪農に従事したそうですが、苦悩がなくなることはなかったそうです。「自分がつくったものがどんな結果をもたらすのか。それを考えず、純粋な科学者であったことに罪を感じている。」
「オーフル(awful、ひどい)……。」ヒントンさんの原爆ドームを見たときの第一声だそうです。ドーム脇の英語の説明文を一語一語かみしめるように読んで「私はただ、実験の成功に興奮した科学者に過ぎなかった」とコメントしたそうです。このような心を持ち続けて、同じ過ちを後輩科学者が起こさないようにしていくことも重要なのではないでしょうか。彼女に限らす、原爆開発に関与したすべてのひとがヒロシマ、そしてナガサキを訪問し、何をそこで感じるか、何をしなければいけないかを考えて欲しいですね。
写真は http://www.afpbb.com/category/war-unrest から